「思えば遠くへ来たもんだ」を観て 佃 堅輔(法政大学教授・美術評論家)
自己の人生を振り返るとき、題名のような言葉が、ある感慨をもって、ふと呟かれよう。机の上のパソコンの機械や携帯電話、椅子の上のワイシャツ、パレットやカンヴァス、周囲を高く取り囲む本棚、等々。 緑色に深く染まるこの密室空間こそ、画家が紙飛行機のように想像力を自…
自己の人生を振り返るとき、題名のような言葉が、ある感慨をもって、ふと呟かれよう。机の上のパソコンの機械や携帯電話、椅子の上のワイシャツ、パレットやカンヴァス、周囲を高く取り囲む本棚、等々。 緑色に深く染まるこの密室空間こそ、画家が紙飛行機のように想像力を自…
橋本氏の出自は「材料分析屋」である。長年。科学技術の真っ只中で生きてきたこともありサイエンスへの思いは人一倍強い。グループ展より一人で苦楽の全責任を負う個展に全力を注ぎ、敢えてそれを選択してきた橋本氏の厳しい性格も作品に姿を見せる。 この橋本氏の創り出す緻…
どんな具象系の画家も、自分の内面を通し、常に「何を」描くか懸命に探している。「何を」さえ決まれば、「どのように」描くかは、おのずと定まってくるからだ。 そのようなモチーフ探しについていえば橋本勝さんは、まことに恵まれている。学校の機械科を卒業し、大企業の自…
私の画業への出発は遅く、まさに40歳の手習いでした。横須賀の拙宅の近くに堀江半杓子先生(当時、二紀会会員・女流画家協会委員・元中央美術協会委員)が絵画教室を開かれたのを機に師事したのがちょうど40歳のときでした。その後は堀江先生のお勧めで中美展(東…